脂質管理に用いる薬剤

冠動脈疾患再発予防のためにはLDL(悪玉)コレステロールを中心とした脂質管理が重要です。

脂質低下療法に用いられる薬剤について記載します。

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スタチン

スタチンによる冠動脈疾患の再発効果は1994年に発表された4S試験によって最初に証明されました。

それ以降複数のエビデンスが存在します。近年日本で行われたREAL-CAD試験は、 安定冠動脈疾患患者を対象にピタバスタチン高用量(4 mg)群と低用量(1 mg)群に無作為に割付け、高用量群は低用量群よりLDLコレステロール値を低下させ心血管イベント発生を抑制させました(4.3% vs. 5.4%, p=0.001)。

またESTABLISH試験やASTEROID試験はスタチンによるプラーク容積減少効果を示しました。

日本及び欧州のガイドラインいずれにおいてもストロングスタチン(アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン)の最大用量での投与を推奨しています。

スタチンによる副作用は肝機能障害、CK上昇や筋脱力などのミオパチー様症状、血中および尿中ミオグロビン上昇を伴う横紋筋融解症が報告されています。

またスタチンだけでは十分なLDLコレステロールの低下を得られない症例には、エゼチミブやPCSK9阻害薬を併用し、適切な脂質管理を行う必要があります。

エゼチミブ

IMPROVE-IT試験は急性冠症候群患者を対象にスタチン単独群とエゼチミブ併用群に無作為に割付け、エゼチミブ併用群はLDLコレステロールを有意に低下させ(53.2 mg/dL vs. 69.5 mg/dL; p<0.001)、心血管イベントを有意に低下(32.7% vs. 34.7%; p=0.016)させたことを報告しました。

日本及び欧州のガイドラインいずれにおいても、スタチンでLDLコレステロールの管理目標に達しない症例に対するエゼチミブの併用を推奨しています。

PCSK9阻害薬

PCSK9阻害薬は強いLDLコレステロール低下作用があります。

最大用量のスタチンでもLDLコレステロールの管理目標を達しない症例に用いられることが多いです。

PCSK9阻害薬はFOURIER試験やODYSSEY OUTCOMES試験により強力なLDL-C低下作用と心血管イベント抑制効果が証明されています。

PCSK9阻害薬は皮下注射製剤で、現在の薬価は高額です。

最大用量スタチンやエゼチミブを併用してもLDLコレステロールの管理目標値に達しない症例に対する投与が推奨されています。

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