食物繊維、特に水溶性食物繊維の摂取は、冠動脈性心疾患(CHD)のリスクと逆相関する可能性があることが、これまでの研究から示唆されています。
食物繊維はコレステロール(特にLDL: 悪玉)を低下させ、冠動脈疾患を防ぐ役割があると考えられています。
またこれまでの研究で、食物繊維は体重増加や血糖値の上昇を防ぐとも示唆されています。
この研究では食物繊維の摂取と心血管疾患のリスクとの関係が評価されました。
方法
National Health and Nutrition Examination Survey I Epidemiologic Follow-up Studyに参加し、ベースライン時に心血管疾患を発症していない成人9776人を対象に、食物繊維の総摂取量や水溶性食物繊維の摂取量と心血管疾患リスクとの関係を調査しました。
結果
平均19年間の追跡期間中に、冠動脈疾患 1843例、心血管疾患 3762例が記録されました。
食物繊維摂取量の最低四分位(中央値、5.9g/d)と比較して、最高四分位(中央値、20.7g/d)の参加者では、冠動脈疾患イベントの相対リスクは0.88(95%CI] 0.74-1.04;P trend = 0.05)、心血管疾患イベントの相対リスクは0.89(95%CI 0.80-0.99;P trend = 0.01)でした。
水溶性食物繊維の摂取量が最も多い人(中央値 5.9g/d)と最も少ない人(中央値 0.9g/d)人の相対リスクは、冠動脈疾患イベントの相対リスクは0.85(95%CI 0.74-0.98;P trend = 0.004)、心血管疾患イベントは0.90(95%CI 0.82-0.99;P trend = 0.01)でした。
まとめ
食物繊維、特に水溶性食物繊維を多く摂取すると、冠動脈疾患のリスクが低下します。
Dietary Fiber Intake and Reduced Risk of Coronary Heart Disease in US Men and WomenThe National Health and Nutrition Examination Survey I Epidemiologic Follow-up Study. Arch Intern Med. 2003;163(16):1897-1904