日本での心臓リハビリテーション実施率は低い

外来まで継続した心リハの施行は7%

日本では高齢化に伴い、慢性心不全の患者数の急増が予想されています。

日本循環器学会が実施しているJROAD(Japanese Registry of All cardiac and Vascular Diseases)survey によると、

2017年に心不全で入院した患者数は26万人で、2013年の調査開始以来、毎年1万人ずつ増加しています。

心不全が重症化すると予後は極めて悪く、労作時の呼吸困難感などの症状で日常生活が制限され、QOL(生活の質)が著しく低下します。

急性逆心不全は、集中治療のための入院を余儀なくされ、多くの医療費がかかり、さらに心不全患者の再入院率は高いことも知られています。

心不全増悪による再入院を防ぐために心臓リハビリテーションが行われています。

これまでに欧米では外来心臓リハビリテーションが運動耐容能やQOLの改善、再入院率の低下につながることが報告されています。

日本でも心臓リハビリテーションは行われていますが、退院後の介入の実態は明らかになっていませんでした。

本研究の目的は、日本における心不全患者に対する多職種の介入や、入院および外来心臓リハビリテーションの実施率と施設の特性との関係を明らかにすることされました。

 

 

スポンサーリンク

方法

調査参加者は、2016年4月時点で日本心不全学会に加盟していた845の医療機関に所属する循環器内科医です。

参加者には、調査に関する説明書と同意書を調査票と一緒に郵送されました。

調査参加者は、アンケート用紙を受け取ってから1ヵ月以内に事務局に返送しました。

計288施設(34.1%)からアンケートの回答があり、そのうち有効回答数は270でした。

 

結果

有効回答を得たのは270病院で、そのうちDPC病院は241病院、JCS研修病院は226病院でした。

平均病床数は502±284床、循環器科病床数は42±28床でした。

 

ほとんどの病院に循環器専門医とJCS認定循環器専門医が在籍していました(それぞれ95.6%、94.1%)。

一方で、心臓リハビリテーション指導士や心不全認定看護師が在籍している病院は、

それぞれ77%、42%にとどまっていました。

心不全の集学的治療の実施率は、入院患者で78.5%、外来患者で32.6%でした。

 

ケースカンファレンス、個別心不全教育、集団心不全教育は、

入院中は72.2%、50.4%、24.1%の病院で、

外来では15.9%、26.3%、8.5%の病院でそれぞれ実施されていました。

入院患者の心臓リハビリテーション実施率は80.4%、外来患者の心臓リハビリテーション実施率は56.5%でした。

心臓リハビリテーション実施率は、日本循環器学会研修病院が他の施設に比べて有意に高値でした(入院 p<0.01、外来 p=0.01)。

 

調査対象となった病院で心不全のために入院した患者51,323人のうち、

60%が入院と外来の心臓リハビリテーションを受けておらず、

33%が入院での心臓リハビリテーションのみを受けており、

入院および外来の心臓リハビリテーションを受けた患者はわずか7%でした。

 

心臓リハビリテーション指導士、心不全認定看護師の存在は、外来での集学的な心不全ケアの実施と有意な関連を示しました(p<0.05)。

日本循環器学会研修病院、病床数の少なさ、CCU病床の有無、循環器専門医の数、登録された心臓リハビリテーション指導士の存在は、入院患者の心臓リハビリテーション実施と有意に関連していました(p<0.05)。

日本循環器学会研修病院、病床数の少なさ、心臓リハビリテーション指導士の存在は、外来での心臓リハビリテーションの実施と有意な関連を示しました(p<0.05)。

 

結論 

この全国調査で、日本では心不全の集学的治療と心臓リハビリテーションの実施率が、特に外来患者で低いことが明らかになりました。

 

本研究のlimitationとしては、

レトロスペクティブなアンケート調査であったこと、

調査対象者が日本心不全学会会員の循環器内科医のみであったこと、

回答率が低かったこと、

などからバイアスの懸念があります。

また、今回の調査では、患者層に関する詳細な人口統計学的情報や臨床情報は収集していません。

 

高齢化社会の到来とそれに伴う心不全患者の増加を考慮すると、

心不全患者に対する集学的治療と心臓リハビリテーションの実施率を高めることが必要があります。

2000年に心臓リハビリテーション指導、2012年に慢性心不全看護の認定制度が開始されており、

これらの熟練した医療従事者は、日本における心不全治療の普及に重要な役割を果たすことが期待されています。

また、一般社団法人 日本遠隔運動療法協会(JARET)などの取り組みが、患者利益につながることを望みます。

一般社団法人 日本遠隔運動療法協会(JARET)

K. Kamiya, et al, Nationwide Survey of Multidisciplinary Care and Cardiac Rehabilitation for Patients With Heart Failure in Japan – An Analysis of the AMED-CHF Study. Circ J. 2019; 83: 1546-1552

 

ACE2濃度が心血管イベントと関連:Lancet

スポンサーリンク
最新情報をチェックしよう!