がん保険の大きな役割は心の支え
『がん保険のカラクリ』という本を読みました。
これはファイナンシャルプランナーでYouTuberの井上先生(私は勝手に先生と呼んでいます)が動画の中でおすすめされていました。
大変おもしろく、読みやすく数時間で読み切ってしまいました。
作者は岩瀬大輔さんで、ライフネット生命保険の創業者です。
岩瀬さんは民間保険は必要十分な説明がなされず、加入を誘導するものがあると憂いています。
例えば「高額療養費制度」の金額を示さず自己負担額を大きく見せたり、「生存給付金」を「無事故ボーナス」として広告しているものがあります。
また、がんによる死亡者数が増えているとの広告がありますが、それは高齢化の結果で当然のことです。
保険契約者と保険会社間で大きな情報格差が存在する現状はフェアではありません。
がん治療にかかる費用は公的医療保険により抑えられますが、定期的な通院や投薬などによる支出は経済的負担となり得ます。
そこで、がん保険の選び方のポイントを解説しています。
がん保険を選ぶ4つのポイント
①診断給付金
がん診断時に診断給付金として例えば100万円を受け取ることができます。
200万円、300万円と増やして申し込むことができますが、その分保険料も増額されます。
②上皮内新生物に関する給付
上皮内新生物は切除すれば治癒するものとされ、給付については会社により異なるため確認が必要です。
給付金が満額支払われない保険もあります。
③診断給付金が何回支払われるか
これは大きな違いがあるとしています。
がんと診断される限りは定期的に支払われるのかどうか。
何度も給付金を受け取ることができる商品が推奨されています。
④通院に関する給付
現在のトレンドとして入院日数が短縮し、外来通院による治療が一般化しています。
入院に対する給付のみではがん保険の恩恵を得られないことがあります。
通院に関する給付には、支払わない商品や、入院後の通院を条件にするもの、入院を条件とせず放射線・手術・抗がん剤の三大治療に拡大しているものもあります。
保険料について
保険料を構成するものとして純保険料と付加保険料があります。
・純保険料:保険金や給付金の支払いに充てられられるお金
・付加保険料:人件費、店舗費、光熱費など保険会社が受け取る保険料
都会の駅前の一等地にある駅ビルに入っている保険会社は付加保険料が多くかかっていそうです。
著者の岩瀬さんはネットを利用することで純保険料は保ち、付加保険料のコストを削減することで安い保険料を設定することができました。
保険の本質
本書では保険の本質について繰り返し言及されています。
保険の本質
発生する確率は低いが、
起きたら経済的損失が大きい事故に備えるために、
大勢で少しずつお金を出し合って備える
高齢者では健康問題が「発生する確率は低く」ありません。
老後生活においては死亡保障は不要であり、高い手数料を払って生命保険に入るべきではないと書かれています。
医療保障についても高齢になれば保険料は高く、給付金は大きくないため割のいい保険ではありません。
発生する確率が低くないものは保険に加入するのではなく、貯蓄による「自家保険」で対応する方が手数料もなく有効です。
一方で貯蓄の少ない若い世代を守るために、貯蓄ができるまでの時間を買うために保険に加入することは検討されます。
いずれ卒業するつもりで人生のポートフォリオに組み込み、貯蓄を中心とした資産形成のシナリオを描くことが望まれます。
がん治療の費用は高額療養費制度があるため、ある程度の貯蓄があれば基本的には心配する必要はありません。
しかし、制度内の自己負担であっても継続して出費が続くと心理的に弱ります。
その際に治療が継続している限りは支払われるがん保険は、心の支えとしての機能が大きいと考えるのがよさそうです。