心房細動早期アブレーションの有用性

ガイドラインでは、心房細動のカテーテルアブレーションは薬物抵抗性、有症候性の患者がよい適応とされます。

しかし、洞調律の維持には第一選択のアブレーションの方が効果的な場合があり、実際に早期にアブレーションを行うようになってきています。

有症状の未治療の心房細動患者を対象に、初期リズムコントロール目的にEarly Aggressive Invasive Intervention for Atrial Fibrillation(EARLY-AF)試験が実施されました。

心房頻脈性不整脈の再発についてカテーテルによるクライオバルーンアブレーションと抗不整脈薬が比較されました。


スポンサーリンク

方法

無作為化の24ヵ月以内に症候性心房細動を有し、心電図で少なくとも1回心房細動が確認された18歳以上の成人が登録されました。

抗不整脈薬を常用している患者は除外されました。

登録後に全患者に植込み型心臓モニター (Reveal LINQ, Medtronic)を挿入しました。

主要評価項目は治療開始後91日から365日までに30秒以上持続する心房性頻脈性不整脈の再発としました。

副次的エンドポイントは、症候性不整脈からの解放、心房細動の負担、QOLであった。

結果

2017年1月から2018年12月までに303人の患者が登録され、154人がクライオバルーンアブレーション群、149人が抗不整脈薬群に無作為に割付けられました。

無作為化から治療開始までの期間の中央値はアブレーション群で50日、抗不整脈群で1日でした。

アブレーション群では全例で肺静脈隔離が確認されました。

抗不整脈薬群で最も処方された薬剤はフレイカイニド(中央値 200mg/日)でした。

1 年後の時点で、アブレーション群154例中 66例(42.9%)、抗不整脈薬群149例中101例(67.8%)で心房性頻脈性不整脈の再発が認められました(HR 0.48;95%信頼区間[CI]、0.35~0.66;P<0.001)。

有症候性の再発はアブレーション群11.0%、抗不整脈薬群 26.2%でした(HR 0.39;95%信頼区間[CI]、0.22~0.68)。

重篤な有害事象はアブレーション群で5例(3.2%:横隔神経麻痺3例)、抗不整脈薬群を投与された6例(4.0%:失神1例, 心不全増悪1例)発生しました。

またペースメーカー植込みを要する徐脈性不整脈は両群とも2例ずつありました。

Limitationとしては心血管系アウトカムを評価できていないこと、クライオバルーン以外のカテーテルアブレーションは評価できていないことが挙げられています。

まとめ

症候性発作性心房細動の初期治療を受けた患者において、カテーテルによるクライオバルーンアブレーションを行った場合、心房細動の再発率は抗不整脈薬治療を行った場合に比べて有意に低値でした。

Cryoablation or Drug Therapy for Initial Treatment of Atrial Fibrillation. N Engl J Med. 2020 Nov 16.

 

スポンサーリンク
最新情報をチェックしよう!