Covid-19ワクチン94%の有効性
マスクの使用、物理的距離をとること、露出した人や症状のある人の検査、接触者の追跡、隔離などの措置は感染を制限するのに役立ってきました。
しかしこれらの措置の効果はばらつきがあり、SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患であるcoronavirus disease 2019(Covid-19)の蔓延を防止するには不十分であることが証明されています。
Covid-19を予防し、重症化のリスクが高い人を守るためには有効なワクチンが必要です。
mRNA-1273ワクチンは、Covid-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNAベースのワクチンです。
方法
この試験は第3相試験で、米国内の 99施設で実施されました。
対象者はSARS-CoV-2 感染が知られていない18歳以上で、SARS-CoV-2 感染のリスクが高い人、重症化リスクが高い人、またはその両方の人でした。
リスクが高い人は65歳以上の方や、65歳未満で慢性肺疾患、心疾患、高度肥満(BMI 40以上)、糖尿病、肝疾患、HIV感染のある方とされました。
SARS-CoV-2感染またはその合併症のリスクが高い人を無作為で1:1に割り付け、mRNA-1273を28日間隔で2回筋肉内注射する群(ワクチン群)と、プラセボを28日間隔で投与する群(プラセボ群)に分けました。
主要エンドポイントは、SARS-CoV-2に感染したことのない参加者において、2回目の注射から14日後に発症したCovid-19の予防とされました。
主要エンドポイントの定義は以下とされました。
- 発熱(体温38℃以上)、悪寒、筋肉痛、頭痛、咽頭痛、または嗅覚・味覚障害のうち2つ
- 咳や息切れ、画像での肺炎の証拠といった呼吸器症状のうち1つ
- PCR陽性
結果
参加者は2020年7月27日から10月23日までの間に無作為化を受けました。
30420人のボランティアが登録され、1:1の割合でワクチン群またはプラセボ群のいずれかの投与を受けるように割り付けられました(各群15210人)。
96%以上の参加者が2回の注射を受けました。
2回目の投与を受けなかった主な理由は、同意の撤回(153名)と、29日目の2回目投与前にPCRでSARS-CoV-2の検出(114名:ワクチン群45名、プラセボ群69名)でした。
平均年齢は51.4歳で47.3%が女性でした。
24.8%が65歳以上で、16.7%が65歳以下で重症化リスクのある方でした。
ベースライン時にSARS-CoV-2感染の証拠が認められたのはワクチン群2.3%、プラセボ群2.2%でした。
196 例が症状のあるCovid-19と診断され、ワクチン群では11例(3.3 cases/1000 person-years, 95%CI 1.7~6.0)、プラセボ群では185例(56.5 cases/1000 person-years, 95%CI 48.7~65.3)でした。
プラセボ群と比較して、症候性SARS-CoV-2感染症の予防に対するmRNA-1273ワクチンの有効性は94.1%(95%CI, 89.3~96.8%, P<0.001)でした。
有効性は初回接種から 14 日後に評価され、ベースライン時にSARS-CoV-2 感染の証拠を有する参加者を含む解析、65 歳以上の参加者を対象とした解析を含む主要な副次的解析でも同様でした。
重症Covid-19はプラセボ群30人に発生し、1人が死亡しました。
注射部位の有害事象はワクチン群でプラセボ群よりも多く発生(初回84.2% vs 19.8%、2 回目投与後88.6% vs 18.8%)しましたが、いずれも軽度なものが多く、1回目と2回目の投与後それぞれ2.6日と3.2日の平均で持続しました。
最も一般的な注射部位のイベントは、注射後の痛みでした。
まとめ
不活化インフルエンザワクチンの有効率は 59%であるとの報告もあり、mRNA-1273ワクチンの予防効果は94%と高いです。
一過性の局所反応および全身反応を除いて、安全性に関する懸念は認められませんでした。
Limitationとしては安全性と有効性のフォローアップ期間が短いこと、無症候性感染を評価するには十分なデータが得られなかったことが挙げられています。
Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine. N Engl J Med 2021; 384:403-416
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