AI心電図が左室駆出率低下を高精度で検出

呼吸困難感で救急科に来院した患者の左室収縮機能障害(LVSD)を同定することはチャレンジングである場面もあります。

呼吸困難の理由は多くの場合、複数の要因が想定されます。

焦点を絞った身体所見や検査所見では、感度と特異性が十分でないことがあります。

この研究の目的は、LVSDを有する呼吸困難を呈する患者を識別するため人工知能を用いた心電図の精度を評価することです。

 


 

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方法

メイヨー・クリニックで呼吸困難を訴えて救急外来で診察を受けた18歳以上の患者のコホートに、LVSD(左室駆出率≦35%)を識別するための人工知能対応心電図アルゴリズムをレトロスペクティブに適用しました。

患者は、救急外来受診日に少なくとも1回の12誘導心電図と、受診後30日以内に心エコー図を受けている者を対象としました。

LVSDの既往歴のある患者は除外されました。

結果

1606人の患者が含まれ、心電図から心エコー図までの時間の中央値は1日(Q1:1、Q3:2)でした。

人工知能を用いた心電図アルゴリズムは、ROC曲線のAUC 0.89(95%CI 0.86-0.91)、精度85.9%でLVSDを同定しました。

感度 74%、特異度 87%でした。

左室駆出率<50%の同定では、ROC曲線のAUC 0.85(95%CI,0.83-0.88)、精度 86%、感度 63%、特異度 91%でした。

また,NT-proBNP 800以上のカットオフでLVSDを同定すると、ROC曲線のAUCは0.80(95%CI 0.76-0.84)でした。

 

 

まとめ

心電図は安価で痛みを伴わない検査であり、救急外来でもすぐに施行可能です。

人工知能で心電図を解析すると、呼吸困難感がある患者のLVSDをNT-proBNPよりも効果的に同定することができるとしています。

Artificial Intelligence-Enabled ECG Algorithm to Identify Patients With Left Ventricular Systolic Dysfunction Presenting to the Emergency Department With Dyspnea. Circ Arrhythm Electrophysiol 2020 Aug13

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