ECMO使用心原性ショック、Impellaによる左室アンローディングで死亡率低下
心原性ショックは50%と高い死亡率につながります。
VA-ECMOの使用は増えていますが、VA-ECMOはその特性上、左室負荷を増加し心筋の回復を遅らせ、生存率を増悪させる可能性があります。
Impella(Abiomed)は左室腔内に留置し、左室負荷を低減するデバイスです。
この研究はVA-ECMOで治療された心原性ショック患者において、Impella to VA-ECMO(ECMELLA)による左室案ローディングが死亡率の低下と関連しているかどうかを評価しました。
方法
4カ国16施設で2005年から2019年の間にVA-ECMO単独かECMELLAのいずれかで治療を受けた心原性ショック患者のデータが用いられました。
一般的な心原性ショックの治療に加え、循環補助デバイスについての経験に富んだ医療機関のデータです。
心原性ショックの定義は治験責任医師の裁量で行われました。
除外基準は心臓術後と18歳未満の心原性ショックとされました。
なお、いかなるプロセスにおいても企業の関与はないと記載されています。
主要エンドポイントは30日間の全死亡率、安全性のエンドポイントは出血合併症、のウソ中などの虚血性合併症、腹部コンパートメント症候群などとされました。
年齢、性別、心原性ショックの原因、心停止歴、血圧、心拍数、乳酸値、pHなどでマッチングし、ECMELLA群とVA-ECMO単独群に1:1に割り付けました。
結果
686人の患者のうち337人(49%)にECMELLAが使用され、マッチング後、ECMELLA群255人とVA-ECMO単独群255人を比較しました。
両郡とも大腿部アクセスが主に用いられました。
Impella 2.5は57例(22.3%)に、Impella CPは171例(67.1%)に、Impella 5.0は14例(5.5%)に使用されていました(5.1%データ欠落)。
VA-ECMOの使用期間中央値は、ECMELLA群が5.0日、VA-ECMO単独群が4.0日でした。
ECMELLA群の左室アンローディング期間中央値は6.0日でした。
マッチングしたコホートでは、様々なサブグループで差異はなく、ECMELLAは30日死亡率の低下と関連していました(HR 0.79[95%CI、0.63-0.98];P=0.03)。
合併症の発生頻度はECMELLAを受けた患者ほど高かったです(重度の出血 38.4% vs 17.9%)、アクセス部位関連の虚血 21.6% vs 12.3%、腹部コンパートメント 9.4% vs 3.7%、腎代替療法58.5% vs 39.1%)。
まとめ
この国際多施設コホート研究では、VA-ECMOで治療された心原性ショック患者では、合併症率が高かったにも関わらず、Impellaによる左室アンローディングは死亡率の低下と関連していました。
これらの所見は、VA-ECMOで治療された心原性ショック患者における左室アンローディングを支持するものであり、理想的にはランダム化比較試験でのさらなる検証が必要です。
Left Ventricular Unloading Is Associated With Lower Mortality in Patients With Cardiogenic Shock Treated With Venoarterial Extracorporeal Membrane Oxygenation: Results From an International, Multicenter Cohort Study. Circulation. 2020; 142: 2095-2106.