MRI非対応心臓デバイスのMRI検査

スポンサーリンク

非対応デバイスでもMRI検査できる?

アメリカではペースメーカーや植込み型除細動器などの植込み型心臓デバイスを使用している患者が200万人を超えています。

MRI検査は診断や治療方針の決定に重要な検査となっていますが、強力な磁場を用いた検査であるため、植込み型心臓デバイスの過剰な熱の発生やデバイスの不具合が懸念されていました。

そのためMRI対応の心臓デバイスが発売され、現在は多く使用されるようになっています。

この研究ではMRI非対応の心臓デバイスを使用している患者のMRIの安全性と臨床的有用性を検討しました。

 


 

方法

2015年9月から2019年6月にかけて、平均年齢69歳の参加者532人(女性211人, 43.6%)をPROMeNADe(Patient Registry of Magnetic Resonance Imaging in Non-Approved Devices)に登録されました。

デバイスのメーカーはMedtronic 68.6%, Boston Scientific 6.7%, Abbott (STJ) 19.6%, Biotronik 2.3%でした。

1998年以前にペースメーカーを植込まれた患者、2000年以前に植込型除細動器(ICD)を植込まれた患者、直近でICDのtherapyがあった患者、リード留置から6週間以内の患者は除外されました。

合計608回のMRI(心臓MRIは69回, 11.3%)を行いました。

すべての患者は、各MRIの前後に装置の検査を行っています。

ペースメーカー依存(HR <40/min)の患者は非同期ペーシング(pacing rate 60ppm)とし、ICDを使用している患者は、MRI検査中に頻脈治療を無効にしました。

MRI検査中は電気生理学に精通しACLSを取得している看護師が立ち合い、血行動態またはリズム異常がないかモニターしました。

 


 

結果

心臓デバイスにはペースメーカー 46%、ICD 30%、心臓再同期療法(CRT-P) 4%、CRT-D 17%、abandoned leads 2%が含まれていました。

ペースメーカー依存患者はMRI検査全体の27%を占めていました。

重大なデバイスの有害事象や患者の有害事象は認められませんでした。

デバイスやリードの過剰な熱の発生は、胸部不快感や熱感を評価することで決定されましたが、この研究の参加者からは報告されませんでした。

3人がMRI検査を完了できませんでしたが、2人は閉所恐怖症、1人は股関節のMRI中の股関節の痛みによるものでした。

608例中607例(99.8%)の検査では、MRI検査後にデバイスのパラメータや機能に変化はありませんでした。

1人の患者で、CRT-PのCSリードインピーダンスの一過性の変化が認められました(MRI検査前510Ω、検査後1075Ω)。

MRI検査後1週間のフォローアップではインピーダンスは元通り(490Ω)に戻っており、介入は必要ありませんでした。

MRIの臨床的有用性に関する調査は検査終了後2か月以内に150人の医師にアンケートを行い、MRI検査により診断が25%変更され、26%の参加者で予後が変更され、42%の患者で予定されていた治療が変更されました。

 


 

まとめ

MRI検査は診断や治療方針の決定に有用でした。

このレジストリは、MRI検査が、MRI非対応の心臓デバイス植込み後の患者においても安全に実施できることを示しました。

Safety and Clinical Impact of MRI in Patients with Non–MRI-conditional Cardiac Devices. Radiology: Cardiothoracic Imaging. Oct 22 2020.

 

 

スポンサーリンク
最新情報をチェックしよう!