院外心停止に対するラリンジアルチューブ vs 気管内挿管: JAMA

救急医療では、院外心停止患者に対する気道・呼吸管理のため、気管内挿管やラリンジアルチューブなどの挿入を行います。

しかし院外心停止患者への高度な気道管理に最適な方法は不明でした。

この研究では、成人の院外心停止患者の初期対応における気管内挿管とラリンジアルチューブの有効性が比較されました。

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方法

救急医療期間が参加したResuscitation Outcomes Consortiumの多施設臨床試験で、2015年12月1日から2017年11月4日までに、高度な気道確保が必要と判断された成人院外心停止患者3004人が登録されました。

最終フォローアップ日は2017年11月10日でした。

27の救急医療機関でラリンジアルチューブ(n=1505人)または気管内挿管(n=1499人)による初期気道管理戦略に無作為に割り付けられました。

主要評価項目は72時間生存率とされました。

副次評価項目として、心拍再開、退院までの生存期間、退院時の良好な神経学的状態(Modified Rankin Scaleスコア≦3)、および主要な有害事象が含まれました。

結果

3004人の患者(年齢中央値64、男性1829人[60.9%])のうち、3000人が一次解析されました。

初期気道成功率はラリンジアルチューブで90.3%、気管内挿管で51.6%でした。

72時間生存率はラリンジアルチューブ群で18.3%、気管内挿管群で15.4%でした(adjusted difference 2.9%[95%CI 0.2%~5.6%]、P = 0.04)。

ラリンジアルチューブ群と気管内挿管群の副次評価項目は以下の通りです。

心拍再開(27.9% vs 24.3%;adjusted difference 3.6%[95%CI 0.3%-6.8%];P = 0.03)、病院生存期間(10.8% vs 8.1%;adjusted difference 2.7%[95%CI 0.6%-4.8%];P = 0.01])、退院時の良好な神経学的状態(7.1%対5.0%;adjusted difference 2.1%[95%CI 0.3%-3.8%];P = 0.02)。

口咽頭または咽頭下損傷(0.2% vs 0.3%)、気道浮腫(1.1% vs 1.0%)、肺炎または肺臓炎(26.1% vs 22.3%)には有意差はありませんでした。

まとめ

成人の院外心停止患者において、初期治療としてのラリンジアルチューブ挿入は気管内挿管と比較して、有意に72時間生存率が良好でした。

これらの知見は、院外心停止患者における初期気道管理戦略としてラリンジアルチューブ挿入を支持する可能性を示していますが、実用的なデザインや臨床の現場、気管内挿管の特性の限界から、さらなる研究が必要であることを示唆されるとしています。

Effect of a Strategy of Initial Laryngeal Tube Insertion vs Endotracheal Intubation on 72-Hour Survival in Adults With Out-of-Hospital Cardiac ArrestA Randomized Clinical Trial. JAMA 2018; 320: 769-778.

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