確かに動脈硬化への抗炎症作用は言われていますが。
スタチンは一般的に血清コレステロールを低下させるために使用されますが、抗炎症作用も期待されています。
興味深いことに以前のcross-sectional studyではスタチンは成人の慢性副鼻腔炎を減らしたとことが報告されました。
この研究ではcase-control studyでスタチンの慢性鼻副鼻腔炎への効果を明らかにすることを目的としました。
方法
この研究はretrospective, case–control studyで2019年に耳鼻咽喉科を受診し、慢性副鼻腔炎の診断を受けた患者を対象に、受診から365日以内のスタチン使用の有無についてカルテをレビューしました。
同様に、対照群となる慢性副鼻腔炎の診断を受けていない患者のスタチンの使用も確認しました。
結果
2019年に慢性鼻副鼻腔炎の診断を受けた患者3655例を同定し、慢性副鼻腔炎の診断を受けていない対照群患者41636例の内7310例をマッチングしました。
慢性副鼻腔炎患者の6.3%(229人)にスタチンの使用歴があったのに対し、対照群患者の8.5%(624人)にスタチンの使用歴がありました。
受診前のスタチン平均使用期間は、慢性副鼻腔炎患者と対照群で有意差はありませんでした(202.3日 vs. 205.6日, p=0.697)。
スタチンを服用している患者では、慢性副鼻腔炎に対する有意な保護効果と関連しており、
慢性副鼻腔炎のオッズ比は0.716(95%信頼区間 0.612-0.838, p <0.001)でした。
まとめ
耳鼻咽喉科を受診した患者の大規模なサンプルサイズにおいて、スタチンの使用は慢性副鼻腔炎の診断を有意に減少させました。
しかし症例対照研究であるため原因と効果の結論を導き出すにはlimitationがあり、今後無作為化試験が必要です。
The Potential Protective Effects of Statins in Chronic Rhinosinusitis: A Case–Control Study. Laryngoscope. 2021; 131: E1431-E1433
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