中性脂肪と血管内皮機能の関係: Atherosclerosis

様々な臨床研究でLDLコレステロールが心血管イベントの独立した危険因子であることが確立されています。

しかしLDLコレステロールを目標とした脂質低下療法にも関わらず、心血管イベントの再発を認めることがあり、残余リスクとして中性脂肪が注目されています。

この研究では、中性脂肪とgeneral populationにおける内皮機能の関係が評価されました。

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方法

FMD-Japan registryに登録された4887名の中性脂肪値と血管内皮機能との関連が横断的に調査されました。

血管内皮機能の評価はFMD(Flow Mediated Dilation)で行われました。

日本語では血流依存性血管拡張反応検査と言い、血圧計のように、腕をカフで締めた後の血管拡張を超音波で確認します。

健康な内皮細胞は、圧迫された後、一酸化窒素(NO)を放出し血管拡張を図ります。

NOを確認することにより、血管拡張の程度を推定します。

結果

中性脂肪値はFMDと相関していました(r=-0.12、p < 0.001)。

被験者は中性脂肪値により6つのグループに分けられました。

FMDは中性脂肪値上昇に伴い有意な減少を認めました(中性脂肪値≤0.71mmol/L、7.0±3.5%;0.72-0.94mmol/L、6.3±3.5%;0.95-1.19mmol/L、6.0±3.1%;1.20-1.48mmol/L、5.8±3.2%;1.49-2.02mmol/L、5.7±3.1%;≥2.03mmol/L、5.5±3.0%;p trend<0.001)。

年齢、性、およびHDLコレステロールを含む心血管系リスク因子を調整した後、中性脂肪値が1.20mmol/L以上であることは、0.71mmol/L以下と比較して、FMDの低四分位と独立して関連していました(中性脂肪値 1.20-1.48mmol/L、OR 1.41、95%CI 1.09-1.82; 1.49-2.02 mmol/L、OR 1.31、95%CI 1.00~1.70; ≥2.03 mmol/L、OR 1.48、95%CI 1.13~1.95)。

まとめ

中性脂肪は血管内皮細胞機能の独立した予測因子で、中性脂肪レベルを下げることで、内皮機能が改善され、心血管イベントの減少につながる可能性があるとしています。

Relationship between serum triglyceride levels and endothelial function in a large community-based study. Atherosclerosis 2016; 249 :70-75.

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