plaque erosionが原因となるacute coronary syndromes with intact fibrous cap (IFC-ACS)はACSのACSの約3分の1を占めているとされています。
しかし、plaque ruptureによるACS(RFC-ACS)と比較して、そのメカニズムはほとんど解明されていません。
OPTICO-ACS studyでは、ACSの原因となるintact fibrous capによるACSのculprit lesionの微小環境を調査しました。
結果
ACS患者170名のculprit lesionをOCTとフローサイトメトリーで評価しました。
この研究ではACSの24.6%がIFCによるものであったのに対し、RFC-ACSによるものは75.4%でした。
IFC病変はRFC病変に比べて脂質量が低く、石灰化が少なく、fibrous capが厚く、冠動脈分岐部付近に局在していることが特徴でした。
IFC病変の微小環境は、RFC病変と比較して、CD4+およびCD8+のTリンパ球を豊富に認めました(それぞれ+8.1%および+11.2%、いずれもP < 0.05)。
IFC病変では、T細胞関連の細胞外小胞がより顕著であり、IFCのculprit lesionから吸引された血栓ではCD8+ Tリンパ球が有意に多く検出されました。
さらに、IFC病変では、T細胞エフェクター分子であるgranzyme A(+22.4%増)、perforin(+58.8%)、granulysin(+75.4%)のレベルがRFC病変と比較して高値でした(P < 0.005)。
分岐部付近の冠動脈の流れを模した条件で培養した内皮細胞は、CD8+T細胞の接着力が増強されました。
CD8+T細胞とその細胞傷害性エフェクター分子の両方が内皮細胞死を引き起こし、IFCのメカニズムとなる可能性があることが示されました。
まとめ
OPTICO-ACS試験では、免疫系、特にCD4+およびCD8+ T細胞とそのエフェクター分子の関与が、plaque erosionが原因となるacute coronary syndromes with intact fibrous cap(IFC-ACS)のメカニズムとなることを説明しました。
この研究で同定された様々な免疫シグナルは、冠動脈プラーク進行の理解を促進し、IFC-ACSに対する個別化された治療法を将来開発するための基礎を提供する可能性が示唆されました。
Differential immunological signature at the culprit site distinguishes acute coronary syndrome with intact from acute coronary syndrome with ruptured fibrous cap: results from the prospective translational OPTICO-ACS study. European Heart Journal 2020; 41: 3549–3560