ARC-HBRによるPCI後の出血リスク評価: JACC

心臓カテーテル治療により、冠動脈にステントを留置された方は、再狭窄やステント塞栓症を予防するために一定期間の抗血栓薬内服が必要となります。

心臓カテーテル治療後の出血は重要な予後規定因子となります。

Academic Research Consortium(ARC)は高出血リスク(HBR: high bleeding risk)患者を定義するため基準のリストを提案しました。

この研究では、現代のreal worldのコホートにおいて、HBR患者に対するARCの定義を検証することを目的とされました。

 

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方法

2014年から2017年の間で3次医療センターで冠動脈ステント留置術を受けた患者は、少なくとも1つの大項目または2つの小項目のARC-HBR基準を満たしていればHBRと定義されました。

複数の基準の存在を考慮して、患者はARC-HBRの定義を満たした数によりさらに層別化されました。

一次エンドポイントは、1年後の周術期または退院後の出血の複合とされました。

周術期や入院中の出血はHb 3 g/dL以上の低下、輸血や出血部位の血管内及び外科的な止血が必要なものとされました。

退院後の出血は入院や輸血を要するものとされました。

二次エンドポイントには、一次エンドポイントの出血のそれぞれの構成、心筋梗塞、全死亡率が含まれました。

 

結果

9,623人の患者のうち、4,278人(44.4%)がHBRに該当しました。

中等度または重度の貧血が最も多く満たした大項目(33.2%)でした。

最も多く満たした小項目は年齢75歳以上(46.8%)でした。

1年後の主要な1次エンドポイントは、HBR患者では9.1%であったのに対し、非HBR患者では3.2%(p<0.001)であり、ARC-HBRの定義を満たした数に応じて出血リスクが段階的に増加しました。

HBR患者では、全死亡率は4.7% vs 0.6% (p < 0.001)、心筋梗塞は4.2% vs 2.0% (p < 0.001)で、すべての2次エンドポイントの発生率も有意に高値でした。

 

まとめ

この研究では、心臓カテーテル治療を受けた患者を対象に、ARC-HBRの定義を検証しました。

ARC-HBRの定義は、出血だけでなく、全死亡を含む血栓性イベントのリスクが高い患者も同定しました。

複数のARC-HBR基準が共存することで、予後予測に相加的な価値があることが示されたとしています。

Validation of the Academic Research Consortium High Bleeding Risk Definition in Contemporary PCI Patients. JACC. 2020; 75: 2711-2722.

 

PCI後プラスグレル減量は出血リスク低減: Lancet

冠攣縮性狭心症への抗血小板薬の効果認めず

高齢者への低用量エドキサバンの有効性: ELDERCARE-AF

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