虚血性心疾患は院外心停止の主な原因です。
ST上昇型心筋梗塞ではない蘇生に成功した心停止後の患者における緊急での冠動脈造影検査や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の役割は不明でした。
方法
この研究は多施設共同試験で、ST上昇型心筋梗塞の徴候を伴わない心停止患者 552 例を、緊急冠動脈造影か神経学的回復後に冠動脈造影を受けるかに無作為に割り付けました。
すべての患者は適応があればPCIを受けました。
一次エンドポイントは 90 日間の生存率でした。
二次エンドポイントには、良好な脳機能または軽度から中等度の障害、心筋損傷、カテコラミンサポート時間、ショックのマーカー、心室頻拍の再発、機械的換気の持続時間、大出血、急性腎障害の発生、腎代替療法の必要性、目標体温までの時間、集中治療室からの退院時の神経学的状態で90日生存率が含まれました。
結果
90日目の時点で、緊急冠動脈造影群では273例中176例(64.5%)、神経学的回復後に冠動脈造影した群では265例中178例(67.2%)が生存していました(OR 0.89, 95%CI 0.62~1.27, P=0.51)。
目標体温までの時間中央値は、緊急冠動脈造影群で5.4時間、神経学的回復後に冠動脈造影した群で4.7時間でした。
残りの二次エンドポイントでは両群間に有意差は認められませんでした。
まとめ
院外心停止後の蘇生に成功し、ST上昇型心筋梗塞の徴候がなかった患者において、緊急冠動脈造影の戦略は、神経学的回復後の冠動脈造影施行と比較して90日後の生存率に関して優位性は認められませんでした。
Coronary Angiography after Cardiac Arrest without ST-Segment Elevation. N Engl J Med. 2019; 380: 1397-1407.