降圧により認知機能障害リスク低下
認知症や認知機能障害の予防のための降圧療法の有益性は不明です。
この研究では降圧療法と認知症または認知機能障害との関連を明らかにすることを目的とされました。
方法
降圧と認知アウトカムとの関連を評価したランダム化比較試験をPubMed、EMBASE、CENTRALで検索しました。
対照群は、プラセボ、代替降圧剤、または血圧目標値の高く設定されたものを使用しました。
主要アウトカムは認知症または認知機能障害とされました。
副次的アウトカムは認知機能の低下と認知機能検査のスコアの変化とされました。
結果
14件の無作為化臨床試験が対象となりました(参加者96158人)。
試験参加者の平均年齢は69歳で、40617人(42.2%)が女性でした。
ベースラインでの平均収縮期血圧は154mmHg、平均拡張期血圧は83.3mmHgでした。
平均追跡期間は49.2カ月でした。
降圧剤による血圧低下群は対照群と比較して認知症または認知機能障害のリスク低下と有意に関連していました(7.0% vs 7.5%, オッズ比[OR] 0.93, 95%CI 0.88~0.98, absolute risk reduction 0.39%, 95%CI 0.09%~0.68%)。
降圧と認知試験スコアの変化と有意な関連はありませんでした。
まとめ
ランダム化臨床試験のこのメタアナリシスでは、コントロールと比較して降圧剤による血圧低下は、認知症の発症リスクまたは認知機能障害のリスク低下と有意に関連していました。
Association of Blood Pressure Lowering With Incident Dementia or Cognitive Impairment: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA 2020; 323: 1934-1944.