心房細動は読売ジャイアンツの長嶋監督や、サッカー日本代表監督のオシム監督も罹患され、脳梗塞や心不全などのリスクがある疾患です。
アルコール過剰摂取は心房細動リスクの増加と関連していることが以前の研究で示されています。
しかし軽度から中等度のアルコール摂取と心房細動の関係を示した研究は少ないです。
この研究では、アルコール摂取と心房細動との関連を調査した研究のメタアナリシスを実施し、軽度から中等度のアルコール摂取が心房細動を増加させるかどうかを評価しました。
方法
メタアナリシスのために、2014年1月10日までのPubMedおよび関連出版物を同定しました。
ベースラインで心房細動がなく、アルコール摂取および慢性疾患のその他の危険因子に関する質問票を記入した79019人を追跡しました。
ビール(アルコール度数別)、ワイン、リキュールをどれほどの頻度で摂取したか、1回の飲酒量、1日何回飲酒したかなどを調査しました。
結果
1998年から2009年までの12年(859420 person-years)のフォローアップで、7245例(男性 4488例、女性 2757例)の心房細動が同定されました。
軽度の飲酒量の男女と比較して、週21杯以上と飲酒量が多い人は、若く、高等教育を受け、現在喫煙し、糖尿病、高血圧、心疾患の既往歴がありました。
飲酒量と心房細動との関連では性差はありませんでした(p for interaction = 0.74)。
心房細動のrelative risksは、
現在の飲酒量が1杯/週未満(アルコール12g/杯)の人と比較して、
1~6杯/週 1.01(95%CI 0.94~1.09)
7~14杯/週 1.07(95%CI 0.98~1.17)
15~21杯/週 1.14(95%CI 1.01~1.28)
21杯以上/週 1.39(95%CI 1.22~1.58)
でした。
12554例の心房細動患者を含む7件の前向き研究のメタアナリシスにおいて、
心房細動のrelative risksは
1日1回の飲酒で1.08(95%CI 1.06~1.10)
1日2回の飲酒で1.17(95%CI 1.13~1.21)
1日3回の飲酒で1.26(95%CI 1.19~1.33)
1日4回の飲酒で1.36(95%CI 1.27~1.46)
1日5回の飲酒で1.47(95%CI 1.34~1.61)
でした。
まとめ
これらの知見は、適度な摂取量であってもアルコール摂取が心房細動の危険因子であることを示しました。
Alcohol consumption and risk of atrial fibrillation: a prospective study and dose-response meta-analysis. J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 281-9.