冠動脈プラークにおけるマクロファージ: Circulation

動脈硬化性プラークの破裂は急性冠症候群の発症の最も重要なメカニズムです。

マクロファージは線維性被膜を劣化させる酵素を放出し、プラークラプチャーを来し得る。

この研究では安定狭心症、不安定狭心症患者の冠動脈プラークのマクロファージを定量化し評価しました。

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結果

HE染色、抗ヒトマクロファージモノクローナル抗体(PG-M1)を用いた免疫染色が行われました。

コンピュータ化された平面測量を使用しました。

慢性安定狭心症患者8名、不安定狭心症患者8名、非Q波性心筋症患者10名の計524枚の組織からなるアテレクトミー標本26枚をコンピュータ・プラニメトリーで解析しました。

総プラーク面積は安定狭心症では417±87mm2×10-2、不安定狭心症患者では601±157mm2 ×10-2、非Q波心筋梗塞では499±87mm2 ×10-2でした(P=NS)。

マクロファージが豊富なエリアは不安定狭心症患者(61±18 mm2×10-2)、非Q波心筋梗塞患者(87±32 mm2×10-2)は、安定狭心症患者(14±5mm2x10-2)より大きい結果でした(P=.024)。

マクロファージが占めるプラーク面積の割合も、不安定狭心症患者(13.3±5.6%)と非Q波心筋梗塞患者(14.6±4.6%)が、安定狭心症患者(3.14±1%)よりも大きい結果でした(P=.018)。

マクロファージに富む硬化性組織は非Q波心筋梗塞患者での67±30mm2×10-2が最大で、不安定狭心症55+19mm2×10-2、安定狭心症患者11.5±4.1mm2×10-2でした (P=.046)。

マクロファージが豊富なアテローム性粥腫は非Q波型心筋梗塞患者では15±4 mm2×10-2で最大で、不安定狭心症患者3.3±1.7 mm2×10-2、安定狭心症患者2.4±1.2 mm2×10-2でした(P=.026)。

まとめ

マクロファージが豊富な病変は、不安定狭心症と非Q波心筋梗塞患者で多く認められました。

このことは、急性冠症候群の病理においてマクロファージが不安定なアテローム性動脈硬化性プラークのマーカーである可能性が示唆されました。

Acute Coronary Syndromes Implications for Plaque Rupture. Circulation.1994;90:775-778.

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