魚食、ベジタリアンで心血管疾患リスク低下
心血管疾患による死亡は全死亡の中で高い割合を占めます。
心血管疾患予防のために食事療法が推奨されています。
健康上の利点だけでなく、動物・環境保護のためにベジタリアンやビーガンになる方もいます。
ベジタリアン食やビーガン食の動脈硬化性疾患への効果は一定していません。
そこで大規模なプロスペクティブ研究が必要となります。
この研究ではUK Biobankのデータを用いて、菜食者、魚食者、魚・鶏肉食者、肉食者など、異なるタイプの食生活をしている人の心血管疾患の発生率と死亡リスクを比較しました。
方法
イングランド、ウェールズ、スコットランドにある22の評価施設が参加しました。
ベースライン時に記入した質問票でチーズ、牛乳、魚(油性・非油性)、鶏肉、赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉、赤身肉加工品)の前年の消費頻度を収集しました。
このデータを用いて参加者は4つのタイプの食生活に分類されました。
〇ベジタリアン(チーズ、牛乳を消費するが、魚、鶏肉、赤身肉は消費しない)
〇魚食者(チーズ、牛乳、魚を消費するが、鶏肉、赤身肉は消費しない)
〇魚・鶏肉食者(チーズ、牛乳、魚、鶏肉を消費するが、赤身肉は消費しない)
〇肉食者(チーズ、牛乳、魚、鶏肉、赤身肉を消費する)
結果
合計422791名(女性55.4%)のデータが解析されました。
ベジタリアン(1.8%)、魚食者(2.4%)、魚・鶏肉食者(1.1%)、肉食者(94.7%)でした。
肉食者と比較して、ベジタリアン、魚食者、魚・鶏肉食者と比較すると肉食者はBMIが高値で、喫煙者が多かったです。
中央値8.5年の追跡期間で魚食者は肉食者と比較して、
心血管疾患(HR 0.93, 95%CI 0.88-0.97)
虚血性心疾患(HR 0.79, 95%CI 0.70~0.88)
心筋梗塞 (HR 0.70, 95%CI 0.56~0.88)
脳卒中(HR 0.79, 95%CI 0.63~0.98)
心不全(HR 0.78, 95%CI 0.63~0.97)
で、交絡因子を調整した後でそれぞれリスクが低かったです。
ベジタリアンは肉食者と比較して心血管疾患発症リスクが低かったです(HR 0.91, 95%CI 0.86-0.96)。
一方で、魚・鶏肉食者では、肉食者と比較して有害転帰のリスクに差はなく、食事の種類と心血管疾患による死亡率との間には関連は認めらませんでした。
まとめ
魚の摂取はさまざまな心血管系の有害な転帰のリスク低下と関連していました。
ベジタリアンは心血管疾患発症リスクの低下と関連していました。
Vegetarians, fish, poultry, and meat-eaters: who has higher risk of cardiovascular disease incidence and mortality? A prospective study from UK Biobank. European Heart Journal, 14 December 2020