イコサペントエチルは動脈硬化進行を抑制: EVAPORATE

EPA製剤はCTの評価で冠動脈プラークの増悪を遅らせた

スタチンは心血管疾患リスクを下げますが、最大量のスタチンでも依然としてそのリスクは残存しています。

REDUCE-ITではEPA製剤の心血管イベントを抑制したことが示されましたが、そのメカニズムは十分に解明されていません。

EPA製剤であるイコサペントエチル(IPE)は脂質の酸化や炎症、プラーク量、血管内膜の改善などの多くの効果が想定されています。

EVAPORATE trialでは食事療法やスタチンに追加し、IPE 4g/dayとプラセボの2群比較でベースラインと18か月後のCTでのプラークを評価しました。

 

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方法

30~85歳でCTで20%以上の冠動脈狭窄があり、中性脂肪値は135~499 mg/dL、LDL-C 40 ~115 mg/dLで、4週以上のスタチン治療がされている80人の患者が登録されました。

IPE 4 g/dayとプラセボの2群にランダムに割付け、CTで冠動脈プラークの変化をベースラインと18か月後に評価しました。

主要評価項目はCTでのlow attenuation plaque volumeの変化とされました。

 

結果

ベースライン

68人が18か月のfollow upを完了しました。

IPE群31人、プラセボ群37人でした。

平均年齢は57.4± 6歳で、54%が男性でした。

中性脂肪の平均値は259.1±78.1 mg/dLでした。

ベースラインの患者背景は両群に有意差のある項目はありませんでした。

ベースラインでのプラーク性状も両群で有意差のあるものはありませんでした。

 

18か月後

18か月後にlow attenuation plaque volumeは IPE -0.3±1.5 vs プラセボ 0.9±1.7 mm3 (p=0.006)でした。

他に、total plaque (IPE -9% vs プラセボ +11%, p=0.002 )、total non-calcified plaque (-19% vs +9%, p=0.0005)、fibro-fatty (-34% vs +32%, p=0.0002)、fibrous (-20% vs 1%, p=0.003)でした。

calcified plaqueは-1% vs +15% (p=0.053)でした。

一方で血液検査についてはIPE群とプラセボ群で総コレステロールやLDL-C、HDL-C、中性脂肪の変化に有意差はありませんでした(中性脂肪の変化 IPE -89.3±91.1 vs プラセボ -92.1±104.3 mg/dL, p=0.91)。

 

まとめ

この試験ではIPEの動脈硬化に与える効果のメカニズムを評価しました。

4 g/dayのIPEは18か月後のCTの評価でcalcified plaque以外の改善を認め、冠動脈プラークの増悪を遅らせました。

IPEはプラセボと比較して中性脂肪やLDL-Cの変化に有意差はなく、抗血小板作用や抗炎症、抗酸化作用など複数の要因が動脈硬化への有効性を示しているものと考えられました。

Effect of icosapent ethyl on progression of coronary atherosclerosis in patients with elevated triglycerides on statin therapy: final results of the EVAPORATE trial. European Heart Journal 2020; 00: 1-8.

 

EPAによる冠動脈プラークの安定化: Clinical Cardiology

中性脂肪の心血管疾患残余リスク: Circ J

 

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