Healed plaqueは急性冠症候群患者の1/4以上に認められた
急性冠症候群は血栓閉塞を引き起こすplaque ruptureやplaque erosionによる動脈硬化性プラークの変化によって生じます。
しかしこれらの変化はプラーク量や血栓の量が少ないと無症状の内に生じていることがあります。
無症状でのプラークの修復および安定化は、層状構造で特徴づけられるhealed plaqueの形成につながります。
この修復過程では3型コラーゲンが徐々に1型コラーゲンに置き換わります。
Healed plaqueは冠動脈イベントで死亡し剖検した症例の61~73%に認められたことが報告されています。
しかしながらその生体内でのデータは不十分です。
この研究では、急性冠症候群患者におけるhealed plaqueの割合や臨床的重要性を光干渉断層法(OCT: optical coherence tomography)を用いて評価しました。
方法
責任病変にOCTを施行した急性冠症候群患者376症例が評価されました。
その内訳はST上昇型心筋梗塞 252症例(67.0%)、非ST上昇型急性冠症候群 124症例(33.0%)でした。
患者はOCTで観察された層状構造の有無で2群に分けられました。
結果
376症例のうち108症例(28.7%)にhealed plaqueを認めました。
脂質異常症(44.4% vs. 33.2%; p=0.041)、糖尿病(35.2% vs. 23.5%; p=0.021)、心筋梗塞の既往(15.7% vs. 6.3%; p=0.009)はhealed plaque群で有意に多かったです。
高感度CRPはhealed plaque群で有意に高値でした(中央値 4.98 vs. 3.00 mg/L; 0.029)。
層状構造を有する群ではtype B2/Cといった複雑病変(72.7% vs. 59.0%; p=0.018)や多枝病変(55.6% vs. 39.2%; p=0.004)が多く、狭窄度も高度(70.0±14.1 vs. 65.7±14.7%; p=0.028)でした。
plaque rupture(64.8% vs. 53.0%; p=0.039)、thin cap fibroatheroma(56.5% vs. 42.5%; p=0.016)、マクロファージ集積(81.1% vs. 63.4%; p=0.001)は層状構造を有する群でより認めました。
1年間の追跡期間で、主要心血管イベントは2つのグループで同様でした。
全要因による再入院のみhealed plaque群で多かったです(32.7% vs. 16.5%; p=0.013)。
まとめ
healed plaqueは、急性冠症候群患者の1/4以上に認められました。
healed plaqueはOCTで観察すると炎症反応を伴う不安定プラークの特徴を有していました。
プラークの脆弱性や局所の炎症などがプラーク治癒させる保護作用を上回り、血栓閉塞の素因となっている可能性が示唆されました。
Healed Culprit Plaques in Patients With Acute Coronary Syndromes. JACC 2019; 73: 2253-63
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