喫煙と心血管疾患による死亡率との関連性が確認
喫煙は冠動脈疾患の危険因子として確立しています。
もはや常識ですよね。
ここでは改めて日本でのエビデンスを確認したいと思います。
この研究では、日本人男女約95,000人を対象とし、10年間のコホート研究で、喫煙状況および禁煙後の時間と心血管疾患による死亡率との関連を評価しました。
方法
調査は1988~1990年に開始され、日本全国の45の地域から40~79歳の110,792人(男性46,465人、女性64,327人)を対象に、生活習慣や心血管疾患およびがんの既往歴に関する自己記入式の質問票の記入を行いました。
ベースライン調査では、男性44,201人、女性55,592人が喫煙状況と禁煙後の状況について有効な回答を得ました。
ベースライン時に脳卒中、冠動脈性心疾患、またはがんの既往歴があった男性2,419人、女性2,691人は解析対象から除外しました。
結果
41,782人の男性と52,901人の女性がフォローされました。
フォローアップは1999年末まで行われ、平均期間は9.9年でした。
男性1,555人、女性1,155人が心血管疾患で死亡しました。
男性は喫煙者 54%、元喫煙者 26%、女性は喫煙者5%、元喫煙者2%でした。
男性では、現喫煙者は非喫煙者と比較して、
脳卒中による死亡率が1.5倍、
冠動脈疾患による死亡率が2.4倍、
心血管疾患による死亡率が1.6倍でした。
女性では、現喫煙者は非喫煙者と比較して、
脳卒中による死亡率が1.8倍、
冠動脈疾患による死亡率が3.6倍、
心血管疾患による死亡率が2.2倍でした。
現喫煙者と非喫煙者を比較した多変量解析の相対リスクは、
脳卒中で1.39(95%CI:1.13-1.70)、
冠動脈疾患で2.51(95%CI:1.79-3.51)、
心血管疾患で1.60(95%CI:1.39-1.84)でした。
女性の相対リスクは
脳卒中で1.65(95%CI:1.21-2.25)、
冠動脈疾患で3.35(95%CI:2.23-5.02)、
心血管疾患で2.06(95%CI:1.69-2.51)でした。
禁煙後2~4年目には、多変量解析による脳卒中全リスクは27%減少し、10~14年目には52%減少が認められました。
冠動脈疾患および心血管疾患のリスクは、禁煙後10~14年目には46~53%の減少を認めました。
まとめ
この研究では喫煙と心血管疾患による死亡率との関連性を確認でき、日本人男女ともに禁煙が死亡リスクの低下につながることを示しました。
冠動脈疾患と全心血管疾患のリスク低下は禁煙後2年以内に、脳卒中のリスク低下は禁煙後2~4年で発現し始めました。
リスク低減の効果は、40~64歳と65~79歳の両方で得られ、どの年齢でも禁煙が重要であることを示唆しています。
まだタバコ吸ってるの?
Smoking cessation and mortality from cardiovascular disease among Japanese men and women: the JACC Study. Am J Epidemiol. 2005; 161 :170-9.